失敗しない内窓工事

内窓を使った騒音対策をご検討の方に

内窓で騒音対策をしたい。そのようにご検討中の方に、是非に知っていただきたいことがあります。それは壁を通り抜けて入ってくる騒音をどう扱うかです。

内窓工事の効果

窓は家の部位である「屋根」「壁」「窓」「床」で最も音的に弱い場所です。その防音性能は壁と比べて半分もありません。だから、一番弱い窓の工事をしない防音工事は、ありえません。

内窓の防音量=お部屋の防音量ではありません

内窓の防音効果は、カタログによれば、今ある窓に内窓を取り付ければ、外部の騒音を40デシベル落とす効果があるとされています。ただし気を付けなければならないのは、この40は窓に限るという事です。つまり、お部屋の音量が40デシベル落ちる訳ではありません。壁がない窓だけのお部屋であれば、お部屋の音量マイナス40は成り立ちますが、壁がない住まいはまずありません。

お部屋の音量はわかりません

2つの内窓工事

内窓工事は、窓だけの防音工事です。壁から通り抜けて入ってくる音については音を小さくすることができません。だから内窓工事は、①壁からの音が全くない場合の内窓工事と、②壁を通り抜ける音があることは百も承知の上で内窓を設置する内窓工事、この2つがあります。

  1. 壁からの音がない内窓工事
    これは、簡単です。お部屋で聞こえる音は、窓からのみですから、外側の音量を計測して、内窓の性能値40を引き算すれば、内窓の効果がフルに発揮できた時のお部屋の音量(期待値)を予測することができます。
  2. 壁からの音ありきの内窓工事
    実際のところ、ご相談が多い電車や車の騒音対策では必ず壁からの音があります。お部屋で聞こえる音は壁からの音も混ざっていることになるので、壁からの音、窓からの音、それぞれをしっかり把握する必要があります。
壁からの音の確認は必須

壁からの音がある。ではどうしたらいいのだろうか

私たちの騒音対策(設計)のスタートは、一度、窓から離れて、壁からの音の検討から始めます。なぜなら、窓の防音はどの様にもできることが分かっているからです。

窓からの音はどうにでもできる。その理由

私どものデータベースには、今まで施工してきた工事前後のデータが蓄積されています。このデータベースと騒音計算式を使えば、お客様のお部屋の騒音に最適なガラスと、最適な取り付け方を選び出すことができます。これによって、窓から入ってくる騒音を単に小さくするだけでなく、音域ごとに細かく防音量を決めることができます。

壁を通り抜けて入ってくる音を把握する

もし窓がなく、全部壁であったら①音量はいくらで、②どんな音に聞こえるのだろか。この検討から始めます。

壁という防音フィルターを通過することで、どの音域がどれだけの音量で聞こえるのかを把握します。騒音を防音する時、電気で音を作り出す音、例えばTVの音量スイッチのように、どの音域も同じ量だけ音が小さくなることはありません。音域ごとに防音できる音量は変わってしまいます。(防音特性)

電気で作る音と騒音(生の音)は違います

内窓を使った騒音対策に必要な事

この仮想、壁だけのお部屋の中に、内窓を設置して、音量を下げた時、内窓を通り抜けた騒音と、壁からの音が混ざった時に、一番小さな音量で、ストレスを感じない音を実現できるのは、どの内窓なのかを見極めます。単純に防音量の数値だけでなく、音の質によっても、受け取る音量が大きく変わります。

 

小さくなったけれども、音が目立つようになった。防音量が過剰で、今まで隠れていた音が聞こえだし、気になる。

このような失敗にならないように、防音量だけでなく、人だからこその要素を加味することで、初めて、失敗することなく、内窓で静かなお部屋に変えることができます。