人と音の関係を考察する

音が音を隠す

夫婦二人が仲良くテレビドラマを鑑賞しているときに、ご主人のスマホが鳴りました。ご主人はスマホを手に取り話し始めると、ご主人の声が邪魔をしてドラマの会話が聞き取れ無くなることがあります。

このように音が音を隠してしまう効果をマスキングと言います。算数的な考えではA音+B音となるところが、片方の存在が消えてしまうのが特徴です。

防音工事、特に内窓工事には、工事後、今まで聞こえなかった別の音が聞こえだし、かえって気になってしまったという失敗例がありますが、この失敗は音のマスキングで説明がつきます。

マスキングの特徴

マスキング効果は①音と音の周波数が近いく、②片方の音量が大きいほど、③音量が大きい音が低い音程の音ほど、その効果が強く表れます。

そしてマスキング現象は音源が全く逆方向(左と右)だと起こらず、方向が近いほど起こりやすくなります。

車の往来が激しい歩道でスマホが鳴りだし、電話に出ると、相手の声が聞きとりずらいので、スマホとは反対側の耳を手で覆う人は多いと思います。そして、この時車道とは反対の耳にスマホを当てるか、スマホを車道とは反対の向きにするため体を180度反転すれば電話が聞こえやすくなります。

マスキング効果の応用

防音設計でも私はマスキングを効果を応用することが多々あります。特定の周波数をわざと取りきらず残し、音をぶつけ合って、目立たない音に変えてしまう事で、音量を下げつつ眠りの妨げにならないようにする。なども、マスキング効果の応用の一例です。

低周波

80Hz以下の周波数の音を低周波と言います。低周波は決して珍しいものではなく、多くの音の中に含まれています。ただし、この音域は日常生活においては、音量が小さいためマスキングされ、一般的には人には聞こえないとされています。そして、その発生源の多くは機械です。

低周波の中でも低い周波数になるほど、圧迫感・イライラする・頭痛・吐き気・不眠を覚え、低周波の中でも高い数字ほど振動として伝わることが多くなります。しかしこのようなケースの音量(音圧)はいずれも55デシベル以上、その多くは80デシベル以上で確認されているので日常生活では出会うことはまずありません。