騒音で眠れない。これは当たり前。生理現象です。
「音が気になって寝付けません」このご相談は非常に多いです。ご相談者からのお話から、下のような傾向があることが分かっています。
- 小さな音なのに寝付けない。もしくは、小さな音で目覚めてしまう。
- 引っ越しをしてまだ日が浅い。
眠れないのは「身を守る為」
実は上の2つは「人も動物である」と考えてみるとよくわかると思います。寝ている状態とは、いわば最も襲われやすい危険な状態あると言えます。人間は、敵との距離を「見る」「聴く」で計ることができます。睡眠中はこの2つの内「見る」ことができませんから、危険から逃げるタイミングを計るには「聴く」事つまり聴覚に頼らざるを得ません。
変化がなければ「安全」だと言える。
最も敵に襲われやすいのが「睡眠時」である以上は、安全が確保されている場所でなければなりません。そして、その安全が朝まで変わりなく維持できる。ベッドに入る時から目覚めるまで何も変化がなければ安全と言えます。音がした。その変化がスイッチとなって、人はとっさに「危険かもしれない」と判断し、目覚めてしまうのです。
このことが分かると、「音がしていると寝付けない」ことも人間の自然の生理現象だとご理解いただけるはずです。ベッドに入っても車や電車の音が気になって眠れないのは、脳が「安全が確保されていない。」と判断しているからなのです。
小さな音でも大きく感じる。
「身の危険を察知する」このことを念頭に置いて考えれば、視覚を奪われている睡眠時は、聴覚である「耳」に頼るしかありません。その為、耳の感度が高まるのは自然なことです。
この感度(能力)は個人差があります。ご家族でお一人だけが「喧しい」と感じる。音量は大したことではないことは自分でも明らかなのに、特定の音だけが「苦しい」と感じる。これはよくあることであり、騒音問題が「音量」だけでは解決できないことを示しています。
脳は学習し経験を蓄積する。
音がしていてもその音が安全である。このことを脳が理解するとその音は安全リストに登録され、危険信号を発しなくなります。俗に言う「慣れ」です。「大丈夫。音は慣れるから。」とはよく聞く言葉です。ストレスに慣れることで安全リストに登録され、寝付けるようになることがあります。
「引っ越しをしてまだ日が浅い。」
このことも「身の安全確保」という生理現象から考えれば、新しい環境に馴染めていないことが要因であると合点できます。「脳が安全な場所」と理解できれば眠れるはずだと。
10日間は様子を観てください。
10日という期間に科学的な根拠はありませんが、15年間、ほぼ毎日のように生活の騒音のご相談を新たに受け、その解決に携わってきた者として、お客様とのやりとりを観ての経験則のようなものです。これは、「お引越し間もない」事が分かっている場合、もしくはご訪問して、お部屋の様子を観てそのように感じ取った気に必ず添える言葉です。ですから、初回の訪問調査や騒音解析・お見積を提出した後でも、まだお引越しをして10日を経過していない場合は、辛いかもしれませんが様子を観る方もいらっしゃいます。慣れてしまえば対策工事(防音工事)は無用なのですから。