家庭の騒音対策と防音工事

暮らしの騒音対策は屋外から入ってくる音を扱い、暮らしの防音対策は室内から外に漏れる音を防ぐことと考えることができます。外からの音を遮断するのか、室内から屋外に漏れる音を遮断するのか、対策で使う材料は同じですが、性質は異なるものです。

騒音対策はパーソナルなもの

外からの 騒音対策の場合、そのお部屋の中にいる対象者は限定されます。とくに「すまい」に限定すると、ご家族・ご親戚かご友人とかなり親しい人です。さらにご相談の中で最も多い「寝室」となると、これはもうご家族だけです。このようなプライベートな場所で求めれる対策は、ご相談者に合わせるということにつきます。それは「騒音と感じる」か「騒音とは感じない」この判断がご相談者個人の感覚量「主観量」から下されるからです。そして場所は個人の空間ですから、気のすむまま工事をすることが許されます。つまりは、すべてがご相談者次第といえます。

また、騒音は自ら出している音ではないため自分に「非」がなく、とくにご相談の多い車や電車などの交通騒音は、相手が見えないことも相まって「なぜ私が苦しめられるの」と被害意識が強く働きます。相談先に求められるのはご相談者が置かれている状況を理解し、悩みを共有することです。そして信頼を築き、ご相談者に騒音対策に関する知識をわかるようにお伝えし、ご相談者から「納得できた。」と言っていただける関係にならないと、騒音問題は解決することができません。まずは本当のお話を聞かせてもらえる関係になることが大事です。

防音対策は多数を相手にする工事です

これに対して防音は外に漏れる音を自ら防ぐことです。想定する対象者は「他者」でありその多くは「多数」です。このため防音対策の基準は「一般的」「社会的通念」という尺度から測られます。その基準の裏付けの多くは、大勢の被試験への調査結果がもとになります。

騒音対策と防音工事は同じ材料、同じ工法を使いますが、求められるゴールが違うため、対策工事の設計が大きく変わります。

防音工事と騒音対策の表

「どう聴かせるか」のほうが大事

防音対策、騒音対策とは、嫌な音をできるだけ小さくするものですが、小さくすることで、今ままで騒音で消されていた音、目立たたなかった音が気になることが多々あります。これでは問題がすり替わっただけです。暮らしの騒音対策(屋外からの音遮断)は、音を小さくしつつもどう聴かせるのかという音空間設計の要素も大事になります。そこでヒントになるのは、オーディオマニアや調律師といった技術者です。

オーディオマニアの方が機材にこだわるのはもちろんですが、「どう聴こえるのか」言い換えれば「どう聴かせるのか」に非常にこだわります。彼らは、機材の位置を変えるだけでも、ちょっとしたグッズを加えることでも聴こえる音が変わることを知っています。ピアノの調律士はお部屋や演奏者のリクエストに応え音の響きを調整することができます。「聴かせる」となったときは、音を鳴らす、つまり、騒音がしているお部屋に合わせることで、響きを考えソフトに変えることができます。今大事なことは、音量をゼロに近づけることではなく、気にならない音に変えることです。空間(お部屋)の弱点がわかればそれを補うことを考えればいいので、窓できないのならば、ほかの力を借りて補うことで聞こえ方を調整することができます。ただし、これらは調整つまりは、防音が一定のレベルまでできている上のお話です。

騒音対策には総合的な知識が必要

騒音対策には「周波数と音量」という物理と客観と、個人の「感覚量」というあいまいな主観を同時に扱う必要があります。この感覚量、しかもご相談者お一人の感覚で決められてしまうという点こそが難しさです。そして騒音対策は防音や建築の知識はもちろんのこと、その上に生理学、音楽、音響という知識も必要とされます。