音で寝付けないその理由

睡眠中の女性

例えばエアコンの室外機のように、絶対的な音量は小さいはずなのに耳について寝付けない。音量だけでは解決できない騒音が増えています。

気にならない音・気になって仕方がない音

耳から入った音は脳に伝わり、脳は音が「不快な音」か「そうでない音」なのかを判断します。音の中には「心地よい音」というのも存在します。「穏やか波」の音や「小鳥のさえずり」の音は誰もが安らぎや癒しさえ感じます。この音を不愉快と思う人はいないと思います。穏やかな波。寄せては返す波のリズムは、眠りが深いときの呼吸のリズムや不快深呼吸のリズム(1回の時間)と一致しているため安堵を感じます。

小鳥は人間よりもはるかに早く危険を察知することができます。その小鳥がさえずっている状態は、「安全」と言えます。身の危険を感じる必要がない状態、無防備でも許される状態を連想させる音は人間にとって心地よい音と感じます。それは長い長い何世代にもわたる経験から学んだものです。

脳が安全であることが認識できればその音に強いストレスを感じなくなるのです。

音が気になる。これ生理現象なんです。

「この音は安全かどうか確認しなければならない。」このように判断した時、人間はストレスホルモン(コルチゾール)を出します。そしてこのホルモンは不快、聞き慣れない、そして音量が大きいほど、一瞬にして大量に出て、その場から逃げ出すようにと、体に伝令を伝えます。

でもここは自宅であるがゆえに逃げたくても逃げられません。だから我慢をする。この我慢がさらにストレスとなり、ストレスホルモンは勢いを増してさらに出続けます。やがては我慢しきれないほどの量に達し「もう私、ダメ。騒音を何とかしなければ」と人は動き始めます。

だから寝付けないのも当然なんです。

ご存知のように大量のホルモン分泌は、体に様々な負担をかけます。このコルチゾールは起床ホルモンでもあり、通常、起床時間の3時間前から分泌が始まり、起床時に最も分泌されるホルモンです。寝室の騒音の場合、就寝時にこのホルモンが騒音によって大量分泌されるので、「寝付けない」という現象が起きるのです。

睡眠は体をメンテナンスするという生きていく上で重要な仕事を担っています。体をメンテナンスするようにと体中に伝令するのは「メラトニン」というホルモンです。このホルモンは「美容」ではよく知られていますので、女性の方はご存じのことと思います。このメラトニンが出始めると、人は「睡眠モード」に入り、就寝から眠りが深くなるにつれて分泌量が増え3時間後に最も大量に出ます。2つのホルモン、メラトニンの3時間、コルチゾールの3時間を足した6時間が人にとって必要な睡眠時間という人もいます。そしてメラトニンは明るいと分泌されにくく、睡眠導入時は暗い方が適し、朝、パット目材メタいときは明かり=朝日を浴びる。太陽を見るとよいと言われています。

騒音に晒され寝付けないは、起床ホルモン「コルチゾール」が大量に出てしまい、睡眠スイッチのホルモン「メラトニン」の分泌を邪魔するからです。そして、睡眠は阻害されるため、体の回復はできず、その結果、「疲れが取れない。」「イライラする。」「集中力に欠ける。」「忘れ物が多くなる。」などの症状を引き起こします。全部これホルモン。人間の生理現象です。

そしてホルモンバランスの崩れは男性よりも女性の方が大きい。ですから音で悩むのは男性よりも女性が圧倒的に多いのです。これは私のところのご相談者を見ても同じことが言えます。

騒音というものを理解する

騒音で悩むとは、20年前は「音量」に問題がありましたが、今日ではむしろ生理学的な考え方が、必要になっています。そして受音の「感度」は人によって違います。

何を差し置いてもこのことを最初に理解する。少なくても「知識」として共有する必要があります。これはご相談者だけでなく、周りの人を含めてご家族のみなさん全員に必要なことです。時々、ご家族の中で騒音に苦しめられているのがお一人の場合がありますが、絶対にご相談者がおかしい(耳が壊れていると表現するご相談者もいらっしゃいます)ということでありません。真面目な人ほど、優しい人ほどそのように思い詰める傾向があります。

騒音の多くは「誰」が悪いでも「何」が悪いでもなく、「知らない」だから「理解できない」だけのことです。だから知識を共有すれば必ず理解できます。